お知らせ
2025.01.15
お知らせ
ドーピングって何?なぜドーピングはいけないの?ドーピング違反にならないようにするには?
スポーツがスポーツとして成り立つ根底には、選手のみならず、コーチやトレーナーを含めたそのスポーツに関与するすべての人がフェア(公正・公平)でなければなりません。このフェアな環境を壊してしまう行為の一つが、「ドーピング」になります。
ドーピングとは、スポーツにおいて禁止されている物質や方法によって競技能力を高め、意図的に自分だけが優位に立ち、勝利を得ようとする行為やそれを隠ぺいする行為です。この禁止されている物質や禁止方法ですが、バスケットボール競技においては、①常に禁止されているもの、そして②競技会(時)において禁止されているものが存在します(図1)。

2024年現在、①の代表例として、筋肉の成長を促進する「S1. たんぱく同化男性化ステロイド薬」や気管支を広げて呼吸を楽にする「S3. β(ベータ)2作用薬」等が挙げられます。そして、その禁止物質や代謝物を体外に排泄させ、禁止物質を検出できないようにする目的で、おしっこを出しやすくする「S5. 利尿薬」等も使用してはいけません。②の代表例は、中枢神経系を刺激して、疲労感を低減し競争心を高める効果を有する「S6. 興奮薬」や、鎮痛や鎮静効果を有する「S7 麻薬」等が挙げられます。近年、大学スポーツ界では大麻の所持や使用に関する報道が増えており、社会問題となっています。スポーツの世界では、大麻は「S8. カンナビノイド」に分類され、選手が多幸感や高揚感を期待する、あるいは競技に対する不安や焦りから逃避する目的で大麻を使用することから、ドーピングとして扱われ、使用は禁止されています。
ここで1つ気にしてほしいポイントがあります。それは、上記の「2024年現在」の箇所になります。禁止されている物質や方法は、少なくとも1年に1度見直され、改訂が行われます(図2)。

この改訂内容をしらないと、ドーピング違反になることがあります。例えば、医薬品に「トラマドール」という鎮痛薬があります。2023年までは「監視プログラム」(*使用は禁止しないが、スポーツにおける濫用の動向をチェックされている物質)でしたが、2024年1月1日からは、トラマドールが競技会(時)に使用していることがわかると、ドーピング違反として扱われて、成績が没収されてしまいます。このように禁止物質や禁止方法について、毎年追加や変更があるので、選手だけでなく、コーチ等のサポートスタッフもしっかり改訂内容を把握することが重要と考えます。